こどもの慢性便秘症の国際診断基準

 便秘症について、はっきりとした決まりごとが知りたいという人のために、便秘に関する医学的用語や国際的な「便秘(症)」の定義、診断するための基準について記します。長いあいだ便秘が続き、便秘を治すために薬をのんだり、浣腸したりといった治療を続ける必要のある便秘は慢性便秘症といいますが、こどもでは、特に原因となるようなほかの病気がないことが大多数です。便秘をおこすような病気がないのに便秘が続くのは「慢性機能性(きのうせい)便秘症」といいます。一方で、ほかの病気のために便秘になってしまうのは器質(きしつ)性便秘症といいます。
 こどもの「慢性機能性便秘症」については、ローマ基準という、国際的な診断基準では、こどもについては、次のようにきめられています。ここでは、2006年に発表されたものを示します。

 まず、4歳未満のお子さんでは、次の項目のち、少なくとも2つが1か月以上あるときは、「慢性便秘症」になっているといいます。
1 排便回数が少ない(1週間に2回以下)
2 トイレで排便できるようになった後の便失禁(週に1回)
3 便が多量にたまったことがある
4 痛みを伴う排便、あるいは排便困難があった
5 直腸に大きな便のかたまりがある
6 トイレが詰まるくらい太い便が出た
 これらとともに、機嫌が悪い、食欲がない、すぐにおなかがいっぱいになるといった症状があり、大きな便を排便したあとはすぐにそのような症状が消えてしまうといったことも診断基準の項目にあげられています。

 4歳以上の小児でもほぼ同じで、以下の2つ以上が2か月にわたってあると「慢性便秘症」と診断します。
1 排便回数が少ない(1週間に2回以下)
2 便失禁(週に1回以上)
3 便を我慢する姿勢や意図的に便を貯めたことがある
4 痛みを伴う排便、あるいは排便困難があった
5 直腸に大きな便塊がある
6 トイレが詰まるくらい太い便が出た
 便失禁というのは、本人が気づかないうちに便が出てしまうことを言います。たとえば、「下剤を飲ませると便が漏れます。」「毎日粘土状の便がパンツについています。」といったことは、便失禁の状態で、自分は便が出ているのに気がつかない状態です。漏(ろう)便ともいいます。

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