トイレトレーニングとこどもの成長

 米国小児科学会が監修したトイレトレーニング・ガイドには、「トイレを使うことは、歩き方や話し方のように本能の働きでできるものではありません。こどものいろいろな能力の発達が必要です。」と書かれています。そもそも、昔と今でトイレトレーニングの方法は違うし、国や文化によっても家庭によっても違いがあり、おとなの事情でトイレトレーニングは行われています。こどもは、排便や排尿方法を、自分のためではなく、親のため、社会のために体得しなければならないのです。決してこどもに無理じいしないようにしましょう。
 一方、トイレトレーニングが便秘のきっかけになることが知られています。トイレに入ったりトイレに座ったりするのがいやで排便をがまんすると、「①便が硬くなる→②排便がつらい、痛い→③排便をがまんする→①便が硬くなる」という「便秘の悪循環」のきっかけになり、慢性便秘症をひきおこします。また、便秘になるとトイレトレーニングは一時おやすみにして、便秘が治ってから再開することになります。こどものさまざまな能力の発達をみながら、無理なくトレーニングを進めることがたいせつです。
 1歳未満のこどもの排便は、自律神経のはたらきによるいわば受動的な排便です。ただ、能力は未熟ですが、だんだんと原因と結果がわかるようになります。つまり、便が出る前と後がわかりはじめるのです。1歳から1歳半になると、自律神経のはたらきだけによる受動的排便から意図的な排便への移行期です。「もよおし」に気づくようになり、便がたまったあと便が出るという一連のはたらきがわかるようになります。1歳半から2歳になると意図的に排便できるようになりますが、それは、このころから外肛門括約筋のはたらきを短い時間コントロールできるようになるからです。この時期は排便をがまんできるため、便秘になりやすく注意が必要です。
 2歳を過ぎると、トイレトレーニングを開始できるといわれますが、簡単な服を自分でぬいだり着たりでき、おまるに短い時間ならすわることができるようになるのもその理由のひとつです。オムツへの排便からトイレでの排便へと排便の制御が始まる時期と考えられます。一般には、3歳ぐらいでトイレトレーニングを終えることが多いと言われますが、こどもの能力の発達に合わせた様々な工夫により、トイレで排便できるようになります。たとえば、友達がしているのを見たり、友達からうながされるのが励みになったり、シールなどのごほうびをもらうのが楽しみになってトイレが使えるようになったりします。

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