こどもの便秘のなおし方 その原則

便秘のなおし方

 正常な排便は健康のバロメータのひとつです。家族がお子さんの排便の様子を見ていて、「便秘だ」と感じるのは、排便時に苦しそうにしているように見えたり、「ウンチ」のときに痛がったり、出血したり、硬い便を出す、といったことがあります。おなかが痛くなって、排便すると痛みが消えたときには「便秘だった」と思うことはよくあります。小児科にかかるこどもたちの3から5%は便秘をうったえているとも言われます。このようにこどもが「便秘」で苦しんでいるのをみるのは、親にとっては心配で何とかしてあげたいとおもうのは当然と言えます。

 お子さんが、このようなつらい、嫌な排便、出血するような排便を経験したのを見たときは、要注意です。特に、離乳食が始まって、だんだん便の回数が減り、1歳になって、いよいよ幼児用の食事にしようというときの排便でそのようなことを目にしたときは、そのような状態が長引かないようにしましょう。

 便秘のなおし方の原則は、便の量をふやすこと、便をやわらかくすること、これにつきます。便の量をふやし、やわらかくするためには、水分を十分にとることと食物せんいが含まれる食品を十分にとることがたいせつです。好ききらいや食べむらがあって食物せんいが十分にとれないときは便秘薬をつかいます。便秘薬は、おとなによく使われる腸の運動を刺激する便秘薬ではなく、便の量をふやす便秘薬のほうがよいでしょう。

 また、トイレを好きになること。便秘にならないようにするためにはたいせつです。トイレトレーニングをはじめたときに、トイレをいやがったり、排便をがまんしているときも、むりは禁物、お子さんのペースですすめるようにしましょう。そして、トイレに行くのがはばかられるような環境をなくすることもたいせつです。排便は、安心できる場所で、リラックスして行う営みです。トイレに行くことでからかわれたり、こわい思いをしたり、することのないようにしましょう。

便のなりたち

便のうちわけ

 便秘をなおす方法を考えるには、便のなりたちを知るとその理由がわかります。便の材料は食べもの、飲みものですが、便の量はその7割を占めると水分と消化吸収できない食べカスの量で決まります。私たちおとなでは、1日に食べたり飲んだりするものと唾液(だえき)や胃液などの水分は、あわせて8から10リットルにもなりますが、便の中に含まれる水分は0.1リットルしかありません。一方、食ベカスには、便秘をふせぐにはとてもたいせつな食物繊維(せんい)が多くをふくまれます。それは、食物せんいは中に水分をたくわえることで、便の量を増やして軟らかくするはたらきがあるからです。
 したがって、便秘にならないようにするには、あるいは、便秘になったときには、食物せんいの多い食事と水分を十分にとること、これにつきるわけです。現代の日本にはおいしいものがあふれています。こどもにとっておいしいもの、好きなものだけを食べていると食物繊維の少ない食事になりかねません。食べてほしいものを楽しくたくさん食べてもらうために知恵をしぼり、水分を十分にとることがたいせつです。

トイレトレーニングと便秘

 また、こどもがトイレで排便するのはたいへんなことです。排便行動は時代や文化により変化し、トイレは場所によって異なり、現代の排便事情は複雑です。こどもたちは一からそのルールを学ばなくてはなりません。早くオムツを外そうと思って無理にトイレに行かせようとすると排便がいやになり、排便をがまんして便秘の悪循環になりやすくなります。自分の気に入った方法で排便できるように無理なくトイレトレーニングをすすめる。そんな子育てをしていただければと思います。

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