何でも食べられるように
母乳やミルクから離乳食への移行は、赤ちゃんの準備ができてから始めます。生まれて4か月までの赤ちゃんは固形物は受け付けません。早すぎる離乳食は赤ちゃんの抵抗にあって難しいものとなります。赤ちゃんに準備が整い、自分から食べたいというしぐさがあってから食事を始めるのは赤ちゃんが新しい食べものを好きになる助けにもなります。
学校に行く前のこどもでも、自分から新しい食べものに興味を示したときのほうが、その食べものを好きになりやすいです。お友達やきょうだい、親と一緒に食べるときの方がよく食べます。新しい食べものはほんの少しだけでも食べればいいことにしたり、食事の時間を十分にとることは、食べもののレパートリーを増やします。料理をいっしょに作ったり、食卓の準備をいっしょにするのもよい考えです。いっしょに食べる大人は、せかしたり、無理に食べさせたり、ごほうびなどでおもねたりせず、食べものについてあれこれ話さないのもよいようです。
こどもがいろいろなものを食べられるようになるには、プレッシャーをかけたりおもねたりするのではなく、食べてほしいものを根気強く食卓にならべ、自分たちがおいしそうに食べて、少しでもいいので食べる気にさせることが大切です。こどもが好きなもの、食べられるものだけを食卓にならべたり、食卓に出したものを食べないからといって、冷蔵庫から代りのものを出して食べさせるのはやめましょう。食べものについて、なだめたり、すかしたり、罰をあたえたりするのはいけません。米国の論文では、親による食べものに関する不適切なプレッシャーや甘やかしが、肥満や過食、食思不振症につながると警告されています。
人間はそもそも雑食性の動物ですから、こどもはどんな食べものでも受け入れる能力はあるのです。でも、その能力を生かし、おとなになってもどんなものでもおいしく食べられるようになるためには、おとなたちが手伝ってあげなければなりません。こどもは、親がいろいろなものを食べるのを見ています。その時には食べなくても、「いつかは自分も食べれるようになりたい」と思っています。無理強いしたり甘やかしたりすることでそんな「あこがれ」がつぶされないようにすることがたいせつです。
「ちょっと食べてみたら。おいしいかもよ。」と試したり、挑戦する気にさせましょう。もともとこどもたちは冒険好きで好奇心のつよいもの、食べものについても、おとなのこどもたちへの思いやりによって挑戦し、成功することで成長がもたらされるのです。